TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD で撮った写真を、時間を掛けじっくり見ましたが、開放絞りで撮ると、隅が結構甘いようです。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 78mm / F4.5 AE(+0.3) / ISO64 / RAW


上の写真、パッと見は「良く解像している締まった写真」と感じるかもしれませんが、クリックして拡大してみてください。

ピント位置の中央部の花の描写はまあまあ、そこから少し離れた花の描写は甘いことが分かります。
ほぼ開放絞りで撮ったので、被写界深度を考えれば、中央以外の花はピントが合っていない可能性もあり、一概にレンズの性能とは言えません。

しかし、左下部を見てください。

この像の流れは・・・今どきのレンズ、しかも F4通しとしては甘いと思います。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 122mm / F4 AE(+0.3) / ISO64 / RAW


この写真の背景にある円ボケを見ると、若干ながらレモン型に歪んでいるのが分かります。
そしてそのせいで、ボケが渦を巻いているような、いわゆるぐるぐるボケの兆候が見られます。

この非点収差が、このレンズの四隅に像の流れを作っているのです。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 80mm / F4 AE(-0.3) / ISO64 / RAW


タムロンのホームページを見ると、このレンズの MTF曲線が載っています。


 ・70mm/F4 の MTF
 ・210mm/F4 の MTF

70mm の方を見ると、レンズ端で放射方向と円周方向のコントラスト値の差が急に大きく広がっており、非点収差の存在がわかります。
風景などを広角側で撮る場合、隅までビシッと解像させたければ、二段くらい絞った方が良いようですね。

一方、210mm の MTF を見ると、70mm と違って隅でのコントラスト値の差はそれほど無く、実写では恐らく問題にならないと思います。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 70mm / F8 AE / ISO64 / RAW


それじゃあ、このレンズはダメじゃん・・・って結論にはなりません。

例えば、風景を撮る時。
大抵の場合、隅までビシッとピントを当てたいですよね。

でも、そういう場合は、開放絞りで撮ることはまずないでしょうから、像の流れは現れないと思います。

また、次の写真のように、隅にあるボケが、主役を引き立てる脇役に徹している場合は、たとえ像が流れようと問題にはならないと思います。

それに、大きなサイズのボケは、像の流れが分かりにくい、って話しもあると思います。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 70mm / F4 AE / ISO64 / RAW


それから、私がこのレンズの主用途にしているテレマクロの場合。
この場合は、倍率稼ぎにほぼ長焦点側で撮ることになるので、レンズの性能から像の流れは少ないから、それほど問題になりません。


また、近接域で撮ると、ボケの量が多くなるため、像の流れがあったとしても、それが分かりません。


このレンズは、低価格を実現するために、上手に性能を削った素晴らしいレンズだと思いますね。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 210mm / F5.6 AE / ISO64 / RAW


また、ふと思ったのですが、ひょっとしてこのレンズって、近接撮影に性能を振っているのではないでしょうか。
タムロンは伝統的に寄れるレンズが多く、マクロ撮影に重きを置いた商品構成を揃えてきました。
このレンズもまた、その伝統に沿い、マクロ好きに対する訴求力を持っているように感じます。


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【県立美術館】 NIKON Z7II / TAMRON 70-210mm F/4 Di VC USD / 170mm / F5.6 AE / ISO250 / RAW


Z 70-200mm は、このレンズに比べれば圧倒的に優れた写りを提供してくれます。
例えば、風景を撮る方には、絶対に Z の方をお勧めします。

でも、私のようにマクロ写真が好きな方には、ボケ味の良さと取り回しのし易さから、こちらのレンズをお勧めします。

決めかねていた Z 70-200mm の売却ですが、このレンズの性格と使い勝手の確認が取れた今、やはり処分することにします。

極めて描写の良いレンズですが、私にはあらゆる面でオーバスペック、と言うか、オーバウエイトでしたね(笑)