さすがにまだ梅は咲いていないだろう。
そう思いながらも、一縷の望みで清見潟公園へ行ってみました。

現地へ着くと、予想通り満開には程遠かったのですが、ところどころに小さな花が咲いている状況で、倍率を高くして撮れば、何とか見られる写真が撮れそうでした。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F16 AE(+0.7) / ISO320 / RAW



花の状況があまり良くなかったとは言え、久しぶりの本格的な花マクロ。
しかもレンズは、お気に入りの出戻り娘。
テンションが上がらない訳がありません。

気が付いたら、あっという間に数百枚も乱写していました。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F8 AE / ISO320 / RAW



ところで、今日はちょっと試したことがありました。
それは、「Zシリーズの AF-C は、花マクロで使い物になるか」です。


先日手放した α7R4 は、常に AF-C で撮っていて、花のシベにもビシバシ、っては少し大げさですが、精度的に大変満足出来るものでした。

Zシリーズの AF-C は、α7R4 より劣るのは想定内として、どれくらい使い物になるのか、はたまた、全く使い物にならないか、そこの所を知りたかったのです。




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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F11 AE / ISO320 / RAW



α7R4 で花を AF で撮るときは、拡大AF する時を除き、全てAF-C で撮っていました。
と言うか、花に限らず常時 AF-C で撮っていたのです。

それは、α7R4 の AF-S がどんくさいと言うこと以外に、風などによる花の被写体ブレを、AF-C が追いかけてくれたからです。
風などで花が強く振られるような状況だと、さすがに α7R4 の優秀な AF でも追い切れませんが、少しのブレなら相当な精度で追いかけてくれたので、大変便利に使っていました。


また、動き回る昆虫を狙うには AF-C の方が都合が良いので、もし花を AF-C で撮ることが出来れば、不意にチョウやハチなどが現れたときに対処がし易いのです。


と言うことで、Zシリーズの AF-C で、どこまで花のシベにピントを当てることができるのか、私にとっては非常に興味があることなのです。


とりあえず今日は、全ての写真を「シングルポイント+ AF-C」と言う設定で撮ってみました。

カメラは Z6、そして、使ったレンズはシグマ150mmマクロです。

Z7II ではなく Z6。
そして、純正レンズでなく、しかも、今となっては決して AF が早いとは言えないシグマ製。(発売当初は高速AF を売りにしていましたが)
AF-C のテストとしては、あえて厳しい条件にしてみました。


さて、結果はどうだったか・・・



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F20 AE(+0.3) / ISO320 / RAW



まず、上の写真のように、私が一番撮ることが多い 0.3 ~ 0.5倍程度の撮影倍率の場合ですが、思っていたよりピントの精度が良かったです。

とは言え、問題が無い訳ではありません。


一番問題になったのは、Z6 の AF測距枠が大きいことです。

Z6 の画素数だと、シングルポイントでも測距枠の面積がシベに比べて相当大きいため、測距枠の中には複数、と言うかたくさん(上の写真では 5~6本)のシベがあり、ピントを当てたい任意のシベに AF が当たるかどうか、それは運次第になってしまうのです。


AF-C を起動させると、ほぼ一瞬でピントが当たり(←立派!)、その後、ピントが微妙に前後する細かい動作がファインダで確認できます。
ところが、このぐらいの距離では拡大表示しないとジャスピンの判断は難しいので、何となく「今だ!」と言う感じでシャッタを切ります。
まぁ、EVF は表示に遅延があるので、「今だ!」と思ったときは既に遅いのですが(笑)

と言うことで、抑えに何枚か撮ることになります。

上の写真の場合、中央のオシベに当てれば左下のメシベにもピントが来るよう、絞り値を決めたのですが、6枚撮った内の 3枚が望んだ通りにピントが当たり、1枚が全くダメ、残りの 2枚は甘い目で見れば OK でした。

いや~、予想外の好成績にビックリですよ、ホント。


では次に、等倍付近ではどうか。




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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F32 AE(+0.7) / ISO1000 / RAW



この場合、真ん中のメシベにピントを当てることを考えました。
で、メシベはやや奥まったところ(=遠く)にあるので、被写界深度の特性を考えて、左下のオシベを AFで狙いました。
結果的に、メシベはやや被写界深度から外れてしまったのですが、これは私の見込み違いのせいなので、AF性能には関係ありません。


このカット、3枚撮ってその全てがジャスピンでした。

風は吹いていない状況でしたが、等倍撮影ともなると、身体のほんの少しの動きでピントがズレるので、それを物ともしない AF性能に、少し感動しました。


サザンカのような大きな花の場合、等倍ともなるとシベは相当大きくファインダに写ります。
これなら、拡大表示せずとも MF で十分狙えますが、AF でも当たるという安心感は大事です。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F7.1 AE(+0.3) / ISO320 / RAW



小さな花なので、これも等倍に近い倍率です。
花びらからちょこんと見えるシベを強調したかったので、あえて開け気味の絞りで撮りました。


さて、この場面だと、測距枠の中に花びらとシベの両方がある状況です。
白い花びらのエッジと黄色のシベのどちらがコントラストが高いか、何とも言えない状況ですが、花びらにピントが当たっても、仕方が無い状況ではあると思います。

実際のところ、最初は上側の花びらにピントが来ました。
で、そのままほんの少しカメラを下に振ったら、即座にシベにピントが移動し、その後はシベからピントが移動しなかったので、さして苦労せずジャスピンで撮ることが出来ました。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F16 AE / ISO320 / RAW



さて、私が AF-C にとって一番厳しい状況だろうと予想していたのは、上の写真のように少し離れて撮る場合です。
測距枠の中のシベの数も多くなるし、コントラストが強い花びらのエッジや背景の枝なども、測距枠の中に入ってしまう可能性が高くなるからです。

また、この位の距離の EVF での MF は、拡大表示させなければ絶望的、と言ってよいほど難易度が高いので、AF の必要性が一番高いのです。

ところが、驚くべきことに、10枚以上の写真を撮って、花びらのエッジや背景に抜けることは全く無かったのです。
狙ったシベに当たるかどうかは、前述したように運次第ですが、ゆらゆらピントを探す AF-C でも、どこかのシベには必ずピントが合っていました。

思った以上に私の意図を汲んでくれる Z君。
お主、なかなかやるねぇ。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F7.1 AE / ISO320 / RAW



おあつらえ向きに、不意にミツバチが現れました。で、複眼に測距枠を合わせてシャッタを切ったら、ご覧の通りでした。
残念ながら複眼にはピントが来ていませんが、背中(正確には「胸」です)に生えた毛がバッチリ解像しています。
まぁ、ハチの上にある花びらもジャスピンなので、測距点としてこちらが選ばれた可能性もありますが・・・

少なくとも数回シャッタを切る時間があれば、複眼にもピントが当たった可能性は感じられました。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F14 AE(+1.3) / ISO320 / RAW



と言うことで、予想以上の好結果に驚くと共に、今後、被写体ブレの可能性があるものに対しては、積極的に AF-C を使ってみようと思いました。

今回は Z6 にシグマ150mmマクロと言う組み合わせだったことを考えると、測距枠の面積が小さく、AF 機能も向上したと言われている Z7II と、AFが爆速で手ブレ補正もよく効く Z純正レンズで撮れば、相当良い結果が得られるのではないかという期待が膨らみます。

今度写真を撮りに行くときに、Z7II と Z 70-200mm の組み合わせで、AF-C の常用が可能かどうか、試してみようと思っています。



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【清見潟公園】 NIKON Z6 / SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM / F10 AE(+0.3) / ISO320 / RAW



と、希望が持てる話しをましたが、実は不安もあるのです。それは、Z7II が多画素機であることです。

α7R4 を使い出してすぐ、今まで MF でのピント合わせにそこそこ自信があった私は、打ちのめされる思いを味わったのです。
そのあたりの事は、以前記事にしたのですが、ここで簡単に原因を述べると、他のカメラでは分からなかった微妙なピンずれが、等倍表示の拡大率が高い α7R4 の 6100万画素では、露わになってしまうからです。

なんのことはない、今までピンずれしていたことに気が付いていなかった、いや、気付く術が無かった、と言う話しなのです。

つまり、今日感じた「花マクロでも AF-C が使えそうだ」という期待は、あくまで Z6 だからこそ得られたのであって、多画素機である Z7II では、また話が違ってくるのではないか、と言う不安があるのです。


さ~て、どうなりますか、ねぇ。