もうずっと前から思っていたことですが、白黒写真の撮り方がわかりません。

白黒には色が無いので形や陰影で見せる、ってことは分かりますが、形が面白かったり、光と影の陰影が印象的な場面を撮ったとしても、なんだかそれだけ、みたいな感じで、イマイチ訴求力が無いように感じます。
実は、大変失礼ながら、人様(プロ含む)が撮った白黒写真を見ても、どこがよいのかさっぱり分からない写真が多いです。
つまり私は、撮り方以前に、白黒写真に対する鑑賞眼が無いのです。



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【掛川花鳥園】 X-H1 / XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro / F8 AE / ISO200 / JPEG(ACROS)



もちろん、見た瞬間に衝撃を受けた写真もありました。
以前ブログで紹介した、英伸三さんが基地返還闘争を行っている忍草母の会の老母達を撮った写真
数年前、写真展でこの写真を見たとき、本当に鳥肌が立ち、ずっと眺めていたのを思い出します。
もし、この写真がカラーだったら・・・う~ん、どうなんでしょう、あのような感動を受けたかどうか。



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【楠】 X-H1 / XF 50mm F2 R WR / F2.8 AE(-0.3) / ISO200 / RAW(ACROS)



どうやら白黒写真は、カラー写真と比べて、鑑賞者に色々と想像力をかき立てさせる力があるようです。
果たして色が余計な情報かどうか、そこは何とも言えませんが、少なくとも情報が少ないことが人間の脳を刺激するんじゃないかと思います。

このことを逆説的に言えば、鑑賞者にも想像力が必要だ、と言うことになりなすね。

私はブログで以前から、「写真を撮るのがうまい人は、写真の鑑賞眼に優れている人」と言ってきましたが、1枚の写真から物語を読み取り、そして物語を創り出すことができる能力が、後世に残す写真を撮らせるのだと思います。



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【塩田川】 X-H1 / XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro / F11 AE(+0.7) / ISO400 / JPEG(ACROS)



偉そうなことを言いましたが、もちろん私に後世に残す写真が撮れるはずがありません。
別に、私の写真を後世に残したいとも思いませんし。
単純に趣味として写真を撮り、同じ趣味の方に愚作をお目にかけ、自己満足に浸っていれば十分です。

が、しかし、趣味であるが故に、たとえ自己満足とは言え、納得したいのです。
例えば昆虫写真なら、
 「おぉ、チョウの複眼が綺麗に撮れたぞ」
とか、
 「ミツバチのホバをゲット!」
とか、
 「くぅ~、この翅のブレ具合がたまらん!」
とか、
 「トンボの腹、裏から撮ったらゲロいじゃん」
とか、ね。

ところが、こんな満足した写真でも、後処理で白黒にすると、上に書いたような感動はどうでも良くなってしまいます。
なんか、単なる虫の写真じゃん、って感じ。



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【塩田川】 X-H1 / XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro / F4 AE / ISO400 / RAW(ACROS)



不肖いなきち、未だ自ら感動する白黒写真が撮れない、のであります。

ところが先日、我ながら、これは上手に撮れたんじゃないかと思う写真が撮れました。
こんなこと言っちゃうと、ご覧頂くのが恥ずかしいのですが・・・



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【大内】 X-H1 / XF 80mm F2.8 R LM OIS WR Macro / F8 AE(+1.0) / ISO1000 / RAW(ACROS)



橋の下にいるサギを撮ったのですが、左上のハイライトと右下のシャドーのバランス、中間にいるサギのギリギリ粘っている白、そして、フィルムライクな水面の描写が気に入りました。

こういう写真が、果たして死ぬまでに何枚撮れるかわかりませんが、これからも時々白黒写真を撮っていく気になりました。

な~んちゃって。
私の場合、自分に対するハードルが低いから、案外と自分で言う「傑作」がたくさん撮れたりして、ね(笑)